さかなの年齢

さかなの年齢

 魚には鱗がある。それはまるでタイルを敷きつめたかのように見える。この麟の形質は、大きく分けて楯鱗、硬鱗、骨麟の三つに分けられる。
 ①楯鱗は歯と同じ性質のもので、サメやエイなどにある。
 ②硬鱗は硬鱗魚類のほか、サメやエイにもある。
 ③私たちが日ごろ見かける一般の魚の鱗を骨麟といい、これは鱗の中心から同心円状に鱗ができる円鱗と、鱗の表面に小さい麻があり、後縁がノコギリの歯のようになった櫛鱗に分けられる。

 こういう鱗をよく見ると、樹木の年輪と同じような多くの輪紋がある。
 1600年ごろの学者は鱗の表面にできるこの環状線は大の年輪と同じで、その数が魚の年齢をあらわすものだと考えていた。
 ところがその後、この輪紋の線は一年に一本ずつできるのではなく、鱗が成長するごとにできることがわかった。それ以来、輪紋の数を数えても魚の年齢がわからないとあって、鱗に対する興味は全く消えてしまった。

 それからまた年月がたって1898年、ホフボアという学者がおもしろいことを発見した。彼はコイを飼って、その成長と鱗の成長を比較研究していたのだが、夏、コイの成長のよいときには鱗の成長もよく、輪紋一本一本の間隔は広い。それが冬の成長の悪いときは鱗の成長も悪く輪紋の間隔がせまいことを知ったのだ。
 これがいわゆる夏輪と冬輪で、彼はこの輪紋の粗密の一組を一年としてコイの年齢を推定したところ、飼育年数とぴったり一致した。つまり魚の場合、輪紋の粗密の境界部が樹木の年輪と同じだということがわかったのだ。

 もう少し鱗の話をつづけよう。魚がけんかして鱗がとれることがある。するとまた鱗ができるが、この場合、いままであった部分には輪紋がみられず、再生された部分からできてくる。だからこういう鱗では、魚の年齢はわからない。

 変わった鱗では、体の真横を縦に走る穴のあいた鱗がある。これを側線鱗という。魚たちはこの穴の中にある感覚細胞(神経)で音や水圧を感じとる。だから、人間がどんなに静かに見えないように近づいても、魚はこの麟でわずかな音も感じとりにげてしまう。例えば魚に黒い目かくしをして、そっと手を入れてつかもとうして…も、全く見えないのにすばやく逃げてしまう。これは手を入れたためのわずかな振動と水圧の変化を、側線の鱗で感知するからだ。
 側線は普通の魚では体側にそれぞれ一本あるが、種類によっては数本あったり、網目のようになっているものもある。
 また、フグの仲間にハリセンボンという魚がいるが、そのトゲも鱗の変化したものだし、ウナギなど鱗がなさそうだが、ヌルヌルした粘液の下にちゃんと鱗がある。