大衆魚 サバ

 戦前の大衆魚のナンバーワンだったマイワシが、最近はさっぱりとれなくなり、イワシもいまや高級魚といわれようになった。これにかわってサバとアジの漁獲量が増えている。

 大体サバ釣りといえは、大漁の経験をもっている釣り人も多いだろう。アイス・ボックスにあふれるほどのサバを釣って、サバの煮つけに閉口した方も多いに違いない。サバの生き腐れというように、この魚は大変いたみやすいのでアイス・ボックスいっぱい釣っても、普通の家庭では処分に困るのがおちだ。



 サバはスズキ日 サバ科に属している。そして、この科にはカツオ、マグロ、サワラなど重要な魚種が多数ふくまれ、どれも典型的な紡錘形をしている。体の大部分は泳ぐために使われる筋肉からなっており、人間はこの筋肉を刺し身などにして、うまいうまいと賞味しているわけだ。

 サバ科は、さらにサバ亜科などの数亜科に細分される。このサバ亜科はサバなどの属するサバ属と、グルクンの属するグルクン属に大別される。グルクンは沖縄での方言が、そのまま標準和名に用いられたもので、その分布も南日本からインド洋といった南方系の魚である。サバ類とはちがい、体がいくらか縦に平たいのが特徴といえる。
 サバ属にはマサバ(別名ヒラサバ)とゴマサバ(別名マルサバ)の二種がいて、普通、サバといった場合には、両方のことを区別なしにいうことが多い。マサバとゴマサバは非常によく似ていて、小型のときは判別するのがむずかしいが、大型になると名前が示すとおり、ゴマサバは体側に小さい黒点がみられるので区別できる。
 しかし、なかには中間型の斑紋のものがいて、判定に困るものもある。しかし、そんな場合は別名が示すとおり、体の断面がゴマサバのほうが丸いので、区別する手助けになることと思う。

 マサバはサハリン(樺太)以南、日本各地、朝鮮、フィリピンおよびハワイに広く分布する暖海性の回遊魚である。どちらかというと、沿岸性で表、中層を群れをつくり活発に泳ぎまわっている。すんでいるところの水温は摂氏四・五度から二十四・五度と広いが、適水温は十五~十六度といわれている。
 卵は直径一㍉前後の分離性の浮遊卵で、産卵期は鹿児島近海が三月、東北地方の沖合で五月、石狩湾で六、七月と北に行くほど遅くなる。受精卵は水温二〇度、約五十時間で孵化する。孵化直後は全長三㍉くらいだが、六、七㍉になるとプランクトンを食べ、体長五㌢くらいでだいたい親と同じ形になる。その後急速に成長し、生まれた年の秋、体長二〇㌢くらいの中サバに成長し、沿岸各地に大群を作っておし寄せる。のため、この頃のサバは、アジ釣りなどの一本釣りにたくさんかかるが、十分脂ものらず美味しくない。

さかなよもやま話

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